| 2010.08.11 Wednesday | 音羽屋的徳山 | comments(2) |
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| 2010.08.11 Wednesday | 音羽屋的徳山 | comments(2) |
![]() 標高2922m。徳山の上にはもはや空と雲しかない。 北アルプス・大天井岳山頂。岩と岩の隙間にコンロとコッヘルをセットし、沢で汲んだ水を入れる。沸くまでの間にステンレスのマグカップにドリップコーヒーの豆をセットする。聞こえてくるのは、絶え間なく吹き付ける風と、その風をものともしない力強い炎の音。やがて沸騰したお湯を、カップに注ぐ。ゆっくりゆっくりとドリップすると、風に吹き飛ばされずに残った香りが漂い始めた。 男はカップを手に取った。黙ってもう一度周囲を見渡し、おもむろにコーヒーを一口すすった。心地よい疲れとそれを癒してくれる香り、そして、宇宙の広がりを感じさせる山の空気。最高のひと時を、男は噛みしめていた。 ![]()
| 2010.08.05 Thursday | 音羽屋的徳山 | comments(3) |
![]() 軽犯罪法というものの取り扱いが決して軽くなくなっている昨今、やむにやまれぬ都会での立ち小便はひとりこっそり遂行するのがベターだ。 Leave me alone. おーイエス、それが粋ってもんだね。 排泄時は人間にとって2番目に無防備な状態。 その時に後ろに立たれてはたまったものじゃない。 人の気持ちを想像する。他人の思いを我がことのように受け止める。 あなたの背中から、また大切なことを教えられた。 Twitter→@otowaya_style
| 2010.05.20 Thursday | 音羽屋的徳山 | comments(1) |
![]() その日、徳山は鞆の浦にいた。 歴史を感じさせる町。 人々が、長い時間をかけて築いてきた町だ。 そんな場所に、徳山はよく似合う。 自分だけではなく、他人の歴史をも背負ってきた男の深み。 その背中からは、言い表せない哀愁と人間というものに対する愛情がにじみ出ていた。 鞆の浦が景観論争で話題になっていることは周知のことだ。 旅を共にしたある男が、おろかにもその是非について徳山に聞いた。 「俺はここに住んでいるわけじゃないからなにもいえない。でも、どちらに転んだとしても、それが人間の歴史という意味では変わりはないんだよ」 徳山は、海から目を離さないままに答えた。 人よ、歴史よ、あるがままに。 また、この男に教えられた。 ![]()
| 2009.12.16 Wednesday | 音羽屋的徳山 | comments(4) |
![]() 「僕そんなにお酒飲めないんですよ。」 宴会の前に聞いた弱気な言葉が嘘のように男は杯を乾かし続けていた。 進む酒。 弾む会話。 男の顔は紅潮し、幾分摂取し過ぎたアルコールのせいかときどき舌を絡ませながらも入れ替わり立ち替わりやってくる酌を進める声をまともに受け続けていた。 いつのまにか宴席には一升瓶があちこちに置かれ、一部まだいくらか正気な者たちはそれらを氣にする素振りをみせていたが、男にとってはクリスマスを彩るツリーと同じくらい夢あふれるものに見えた。 やがて幹事が男の前に座り、黙って一升瓶を差し出した。 男はすべてを了解した笑みを浮かべ、中ジョッキでそれを受けた。 賑やかな宴席の中でそこだけ静まり返ったかのような、穏やかでありながら厳粛な空気すら漂う魂のやりとりがそこにはあった。 「僕飲み会好きなんですよ・・・。」 宴たけなわに終わり、席を起とうとしたとき、テーブルの上のジョッキには飲み切れなかった酒が残っていた。 それは、男がこの場に残していった心のようであった。 男はまた明日から、新しい毎日を生きていく。 二日酔いの冴えない頭とともに。 ![]()
| 2009.08.17 Monday | 音羽屋的徳山 | comments(3) |
![]() 宴会の席、男はサングラスを外さなかった。 サングラスをしていないと見られないような醜男、では決してなく、人と目を合わせるのを恐れる癖を持つ者でもなかった。 男は酒が飲めず、しかし周りのテンションから浮き上がることなく、時に煙草をくゆらせ、仲間との会話を楽しんでいた。 手元の煙草の銘柄はホープだった。合コンで女に「ショートホープ吸ってると不幸になるんだよ。『短い希望』だから」とくだらないことを言われ、思わず「は?」と返してしまったことをなぜかいまだに悔いているんだ、と言った。 盛り上がる宴会のさなか、自分も周りも声が大きくなっていった。 「いいことも悪いこともいろいろあるけど、トータルでちょっといいくらいだ。」 「それくらいがちょうどいいよね。」 「婚約相手の姉がうっとうしくてね。」 「少なからずそういうことはつきものだよ。」 楽しい時間を過ごすには、摩擦が少ないほうがいいことをみんな理解していた。 いい宴会だな、と素面なのに充血した目で煙草の煙を追いながら思った。 ![]()
| 2009.08.16 Sunday | 音羽屋的徳山 | comments(2) |
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